さわらいど

さわらいど

ブルベ6年目の大学生→社会人。主に自転車ロングライドが中心。山形転勤おじさん。酒田の地から。

「高速トラック」って何?~陸上競技のサーフェスについて調べてみた~

1.はじめに

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陸上競技を何年もやっていてもあまりその違いを理解できなかったものがある。それは

「高速トラック」ってなんじゃらほい。ってことだ。*1

世界陸上をはじめとする陸上競技中継を観ていると、必ず出てくる高速トラック。

「このトラックは高速トラックですので、良い記録が期待されます。」とか説明されてもよくわからない。

ちなみに国内で開かれる大会で使われるほとんどの陸上競技場の走路はゴム素材でできている。*2*3

 

そもそも、タータンとかウレタンとか競技場で呼び名が違うけど、一体なにが違うのか。高速トラックがあるならそれまでのトラックとの差異は?というモヤモヤを解消するべくネットの海を彷徨っていたら、こんな論文を発見しました。

清賢二,2010「陸上競技用全天候トラック」

https://www.jstage.jst.go.jp/article/gomu/83/5/83_5_125/_pdf

筆者の清さんは、競技場のトラックを製造・施工している長谷川体育施設の方らしく、このレポートには、それまで私が抱えていた疑問点を解消するためのヒントが隠されていました。以下、このレポートを引用しながら、まとめていきたいと思います。

2.トラックについて

トラックの材質は?

 昔は土だったり、アンツーカと呼ばれる赤褐色の土が走路に使われていた時期もあったけど、1975年から合成ゴムの製品が誕生してからはその数は減ってしまった。

そんなこんなで、現在競技場でスタンダードになっているゴム素材について着目してみると、

・ウレタン系(ウレタンチップ散布によるト ッピング仕上げと、スプレー及びローラーによる エンボス状仕上げの2種類がある。)

・合成ゴム系

の2種類に分類される。

 

このうち、いわゆる「高速トラック」と呼ばれているのは、ウレタン系のエンボス仕上げと合成ゴム系のトラックだ。

合成ゴムシート系の特徴は、

  1. 後述するウレタン系素材よりも足元のブレ、特にコーナーリングのブレが少なく、グリップが良い。ピンを刺した時に表面がなめらかなため、グラつきを従来よりも抑えることができる。
  2. 競技者自身への体力的負担も大きいのがデメリット。エネルギーが分散されにくくなるということは、自分の脚にエネルギーの負荷がかかるということ。疲れやすい。

 

 じゃあウレタン/トッピング仕上げの優れているところは?というと上の逆で、

  1. 脚に負担や疲れが溜まりにくい。エネルギーが脚一本に集中せず、ある程度分散してくれる。
  2. それは言い換えると、合成ゴムシートの「高速トラック」のような効果は期待できない

参考ブログはこちら。

www.kofu-field.com

 

 

(さてさて、次は各メーカーごとの素材について調べて行きたいのだけど、これってホント需要あるのかしら・・・。)

 

 【続きです】

o-sworks.hatenablog.com

 

参考文献

清賢二,2010「陸上競技用全天候トラック」

https://www.jstage.jst.go.jp/article/gomu/83/5/83_5_125/_pdf

 

 

 

*1:高速トラックで検索すると高速道路のトラックしか出ません(笑)

*2:陸上やっている人ならご存知、いわゆるタータンです。

*3:ちなみに、「タータン」っていう名前は商標登録されている製品名のことなのです。

http://www.homemate-research-athletic-field.com/useful/15760_sport_041/