さわらいど

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ブルベ3年目の大学生→社会人。主に自転車ロングライドが中心。多摩・長野を中心に走っています。

【BRM920 ええじゃないか伊勢夫婦岩1000】その4 DAY2 前編 

2014年9月21日(日) AM03:45 

 

むくり。

 

予定通り、起きることができた。起きていた周りの人たちは、ぐっすり寝ているみたいだった。

 

たった1時間半の睡眠だったけれど、室内で寝た分回復している。そんな人を横目に、会計をするためにレジへ向かう。

890円。一泊でこんな安いなら、満喫に泊まるひとが多いのも納得。*1 


 

満喫の外でPIPIさんと合流しあ、ちょっと早い朝の挨拶

「寝れましたか?」「ま~ま~じゃない?」

といつもの脱力系な感じでPIPIさんが答える。

気温は、15℃まで下がっていて寒い。体がガタガタするから自転車に乗って走ったほうがあたたかい。さっさと出発しよう。

2日目の出発だ。

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この日走るコースは以下のとおり。橋を渡り三重県に入ったら四日市鈴鹿、津を経由し三重県南部へ下りPCのある志摩へ。そこからこのコース最大の目的、伊勢神宮夫婦岩を訪れたあとは走ってきた道を戻り、再びこの満喫の隣にあるPCまで走る280km。

まずは、130㎞先の志摩のPC2まで12:47までに到着しないといけない。

峠は志摩の帰りにある剣峠しかないものの、

全体的にアップダウンが連続し、地味に苦しめられることが予想された。

ルートはこちら

 

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スタートして間もなく、橋を渡った。木曽川にかかる愛知と三重の県境をまたぐ長い長い橋。

今日の午後11時21分までにここに戻ってくる。そう心の中で誓う。

 

午前4時という時間は、散歩をするにはまだ早い。大抵夢をみる時間だ。

ところどころ街灯の明かりが見えるだけ。あとは川のせせらぎくらいか。 

 

途中で大きな鳥居をくぐり、多度大社の脇を通った。 

「お伊勢参らばお多度もかけよ、お多度かけねば片参り」と

古くから言われているらしく、つまり、

伊勢神宮だけじゃなくて多度神社もいかないといけない」

のだけれども、僕はそんなこと知らなかったから、行きも帰りもお祈りせず行ってしまった。

 

 

それにしても今日の朝は、やたらめったら寒い。*2

多度大社前の交差点信号はやたら長く、まったく車が通らないのに2分以上待っても青になる気配がしない。体が冷えてしまった。

 

「寒い~まだかな、突破したくなっちゃうよね~」とPIPIさんがポツリ。

「突破したいっすね~。僕らを感知してないのかな?」と僕も答える。

 

それでもお互いに、きちんと信号を守るというのは当たり前だけども大切なことだと僕は思う。見てないから信号無視。そんな非常識は通用しない。

 

冷えた体を温めるには絶妙なコース。

上ったり下ったりでいい発汗運動になる。

 

この町の幹線道路なのだろう、県道をひた走る。

空が少し青くなり、ライトが照らした世界以外のものが見えるようになった。

田圃の間を走っている。電柱が、はるかかなたまで続いていてそれ以外は何もない世界。まるで北海道の台地を走っているかのように感じだ。

 

 

しばらく走っていると、前方に赤く動いている物体が見えた。

ライダーだ!結構ゆっくり走っている。眠いのだろうか。

 

「誰かな?」と思い、前を追いついて顔を見てみると、

なんと同じチームの大先輩、池田さんだった。

 

僕は池田さんのことを親しみをこめて、「イケさん」と呼んでいる。

かつて日本縦断の時、池田さんと400㎞を一緒に走ったことがあり、

いろいろ助けてもらった。いわば勝手ながらも師匠のような存在。*3

 

池田さんも、どちらかといえば「鉄人」だと思う。

たとえ途中でタイムアウトになったとしても、最後まで走りぬくことがある。*4

「認定」がすべてでないということを教えてくれた方だ。

 

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今回イケさんは、僕より1時間遅い8時スタート。

ちょっと眠そうだ。いつもよりちょっと低いトーンで池田さんはこう言った。

「おお!大澤さんとPIPIさんじゃないですかぁ、眠くて眠くてしょうがなかったんですけど…ここで会えてよかったです。眠気が飛びました。」

あの寒空の下、コンビニの近くで30分くらい仮眠していたようだ。

 

そんな池田さんが透明なサングラスをつけていたのを見つけた僕が、

「そのアイウェアどこで買ったんですか?」と聞いてみた。

すると、予想外の答えが返ってきた。

「ああ、ホームセンターで急遽買ったんですよ、結構いいでしょ?」

そんなこんなで、3人に増え、チーム亀太郎トレインのできあがりだ。

 

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後ろの青いジャージが池田さん。前はPIPIさん。

 

3人になったことで心強い。引き続き、四日市のアップダウンを淡々と進んでいく。ちょっとディレイラーの調子が悪いのか、うまく変速しない。

何かもやもやする。

 

この時点で、足きりのペースより1時間ぐらい遅い。お昼までに間に合うには平均18㎞/hぐらいのペースで進まないといけない。

ロードバイクで走ると、だいたい時速30km/hぐらいならだれでも出せる。

だから18km/hと聞くと、一見楽勝に見える。だけれど、これは信号で止まっている時間も含めての18㎞/h. 実際は19~20㎞/hぐらいで進んでいるのだ。

現段階だと、一回でもパンクしたらお昼までにPCに間に合わない可能性があった。

 

そんなリミットに間に合うように、3人でトレインを組んで進む。

かわるがわる先頭に立って、二人の空気抵抗をできるだけ減らすべく頑張る。

 

それにしても、朝方はなかなか体が動かない。からあくびが止まらない。眠気は日がでるまでの辛抱だ。明るくなれば目は覚める。

 

長距離ブルべの悩みの一つとして筋肉疲労とエネルギー不足がある。昨日あれほど登ったからだろうか、身体に疲れがきている。胃の調子はぼちぼちだが、時折胃酸が喉まできて気持ち悪くなる。カロリーの消費と補給のバランスが追い付かず、パワーが入らないのだ。今回は3人で話し合った結果、50㎞に1回、10分ほどのコンビニ休憩を入れつつ走ることにした。ずーっとがんばって走っても、限界がきて休んだほうが速い。経験上そうだったからだ。

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いよいよ西から気持ちのいい太陽の光が差し込み、二日目の朝が来た。いよいよ、第2ラウンドの本格的なはじまりだ!

 

▼  鈴鹿サーキットと旧伊勢街道 

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四日市鈴鹿のあたりはアップダウンが続いた。

四日市というと地理や社会の授業で出た四日市工業地帯を連想する人が多いかもしれないが、あれは海沿いの話。僕たちは内陸部をぐいぐいと進んでいった。

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R東京のオフィシャルフォトより。けっこう田舎道。河川敷を走っていると、大量の気球。カラフルで面白いデザインがいっぱい飛んでいる。

写真を撮りたかったのだが、撮り忘れてしまった。

再び県道に合流し、鈴鹿へと向かう。

 

鈴鹿といえば、F1が開催される鈴鹿サーキットを思い浮かべる人が多い。

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小学校の時にレースの応援で鈴鹿に行ったことがあったなと当時の光景を思い出す。もちろん、サーキットの中を走ることはできない。

遠くから、S字コーナーのあたりを眺める。 

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なんとサーキットの真下を県道が開通していた。贅沢なコース。立体交差の下をさらにくぐるっていうの。ヤバいな。

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そして池田さんは元気そう、すっかり回復したみたい。

 サーキットの周りは田舎だ。やっぱり、騒音とかのことを考えるとね。ホンダのお膝元の街、鈴鹿。やっぱりホンダ車が多かったのを覚えている。*5

 間違えて高速に入ってしまったのでは?と思うほど、中勢バイパスは交通量がすごかった。自転車が走っていいのだろうか?なんて考えるほど。

先頭に出て、2人を引っ張ろうとするのだけれど頑張りすぎてPIPIさんたちを置いてけぼりにしてしまうことも…(―_―) 反省。写真は撮る暇がない。

 

1時間ほど走っていた。すると前方に常夜灯が。江戸時代、「お伊勢参り」のルートだった旧伊勢街道に差し掛かった。

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趣のある家々が軒を連ね、道路の色も街道沿いだけ変わっている。常夜灯が立っていて、昔はここを経由して伊勢神宮に向かってたのか。ここだけのどかな時間が流れている。タイムスリップをしたように、そこだけが。

 

信号待ちをしていたら、反対側から反射ベストを着たランドヌールを見つけた。100㎞先にいるってこと? 見たことがあった方なので、声をかけてみた。「もしかして、hideさんですか~!?」「そうですよ~! コーヘー君だっけ?」を返事が来て、ブルべ界最速の一人、hideさん*6その人だということがわかった。青になってすれ違いざま、「お気をつけて!」と言われ「ありがとうございます!気を付けてください!」と返す。 

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独走状態だった。

 

彼岸花と最後の激坂

 旧伊勢街道沿いを離れると、再び景色は田舎道に。

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ここら辺の地域ではコメの収穫が終わっていることに気づき、西日本と東日本の気候の違いを感じ、ここまで走ってきたんだなという実感が湧く。

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道端にはいたるところに彼岸花が咲いていて、茶色だった景色の中に彼岸花の紅色だけが存在感を発揮する。

しばらく走っていると、「赤福」の看板が見えた。

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至るところで「赤福」「赤福」…。しまいの果てには通りすべての電柱に「赤福」とついているところまで見た。これって「水曜どうでしょう」でも見た覚えがあるわ。

赤福氷」とか食べてみたいなあ。ここらへんで、借金していた時間を取り戻すことができた。「伊勢で時間あったら食べられるかも!」とこのときは期待していた。

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そして、PCまであと20kmのとこまで辿り着いた。いよいよ志摩に入る。

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「100mくらい上りは2回くらいあるって書いてあるけどそれくらいなら楽勝だろ」…そのときは、そんなことを思っていた。

 

登りに入るや否や、急にそり立つ壁が現れた。10%近い斜度でしばらく登らされたけどもう大丈夫…ではなかった。

勢いよくまっすぐ下り、それと同じぐらいまっすぐ登る一本道が目の前に。

しかもそれは一回だけじゃない。何回も繰りかえされている。

山陰北陸1000を思い出すアップダウン地獄。斜度の緩いアップダウン。赤福看板が見えるアップダウン。ジェットコースターのようなアップダウン・・。永遠に感じるくらいのアップダウンが続いた。*7

 

気がめいるほど上った。そしてあるトンネルを抜けたとき、ようやく視界が変わった。

 

海が見える‼

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目の前に広がる蒼い海を見ながら水分補給していると、8時スタートのすーさんとすれ違い、PIPIさん達に追い抜かれてしまった。

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急いで合流。なんとか足きりまでには間に合いそうだ…。

伊勢海老の巨大な案内模型が道端に堂々と置かれている。チェックポイントのコンビニが目の前に見えた。うれしくてたまらない。

447km地点 PC2、志摩 12:20到着。

貯金は20分程度。何かトラブルがあったら即終わりだった。

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仮眠スペースには、くたびれたランドヌールたちが天日干しされていた。

その中に、ジロウさんがいるのを見つけ、ここで28時間ぶりに会うことができた。どうやらすーさんと一緒にここまで来たらしく、一睡もしていなかったのだという。起こさないで、静かに休ませよう。

そしてここで、今回の亀太郎では唯一の女性ライダー、けーこさんは昨日のシークレットの時点でDNFとなってしまったようだ。残念・・・。

ここのPCでパスタ等を補給。気を抜くと眠気が襲ってくる。20分くらい横になり、再スタートまでに1時間かかってしまった。

借金は30分ぐらいだ。だけれども、次のPCは600km。ここから150km離れているから、十分なマージンを持って挽回できると考えていた。

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「亀太郎集合!」の写真を撮ってもらった。今回の一番のショットだと思う。

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  左から、池田さん(イケさん)、僕、ジロウさん、PIPIさん。 最高の写真ですなあ

ジロウさんと一緒にイケさんは行くみたいだ。僕は先にPIPIさんと出発することにした。

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13:10 行動開始。今度は伊勢神宮をターゲットに進撃だ。

 
<次回>

・・・走り始めてすぐ、サドルバッグの固定部分がふらついていることに気づいていったん停止。待っているPIPIさんに「すんません、30秒で追いつきます」と先行させた。

 

サドルバッグをチェック。・・・止め金具がゆるんでた。慌てて直し、出発しようとしたその時、トラブルは起きた。

 

「ガゴヅッ!!ガガガッ! バキバギャッ!」

自転車後方からとんでもない音。明らかに異常な音だ。

シフトレバーを押してみても、スカスカで全然反応がない。

 

「え、ワイヤー切れた???」

しかも最悪なことに、ギアはトップに固定されていた。

変速ができないと、これから登る山なんて、到底登れたもんじゃない。

 

さらに僕は、交換するケーブルも無ければノウハウもない。ここまで走ってきて、こんな終わり方もあるのか、やはり1000kmは甘くないのか⁇

 

つづく。

*1:まんが喫茶山ん馬 立田店でした。ちなみに愛知県・岐阜県を中心に展開している漫画喫茶とのこと。

*2:15℃だった。

名古屋の過去の実況天気(2014/09/21) - 日本気象協会 tenki.jp

*3:亀太郎ジャージを貸してもらったり、引いてもらったり、いろいろ・・・。

*4:イケさんは、山陰北陸1000のDNF後にそのまま一週間近くかけて三条燕まで走っていました。病院から帰る時あたりにその記事をfacebookで見た時は都市伝説だと思っていたのですが、どうやらマジみたいです。

*5:この近くにはホンダの工場があったというのも理由のひとつなのかな?

*6:本当にブルベ界最速のひとり。中山道キャノボを達成したり、大阪→東京を21時間で走ったり、そのエピソードは数知れず。

*7:PIPIさんに言わせれば、「アタック日光&ビーフの広域農道みたいな感じ」